新型コロナウィルスが体の中に残り続ける患者がいる
新型コロナウィルスが体の中に残り続ける患者がいる
豊橋技術科学大学と岡山大学の研究チームが新たな研究結果を発表しました。
豊橋技術科学大学の原田耕治准教授は、「『持続感染』が起こる。これが後遺症の原因じゃないか」と言う。後遺症の原因として挙げたのは、感染後、少量のウイルスが体内に残り続ける「持続感染」という考えです。
患者の中には、
- ウイルス量がゼロになり、完治する患者も一部います。
- 症状の大小に関係なくウイルスが残る患者がいる。
ウィルスが生き残った患者に後遺症が出ると言うのです。
ウィルスが体の中に残る理由
新型コロナは、肝臓、腸、腎臓、心臓、脳…ほぼ全身の細胞に感染できます。免疫が、一生懸命感染先をたたいても、次の細胞に広がっていて、なかなか感染が終わらない。ウィルスの残党が体中に隠れ、いつまでも体の中で細々と活動を続ける。
後遺症の正体
今回のウィルスが生き残る説を加えると、後遺症が起きる原因には、
- 体の免疫がずっとウイルスが死滅した後も戦い続けている
・免疫がずっとウイルスが死滅した後も戦い続けている
・ダメージが蓄積されていつまでも残る - 少量のウイルスが体内に残り続ける
の2つが考えられます。1は、ウィルスが死滅した後も免疫活動が続いたり、ダメージが残ったりするのが後遺症の原因であるという考えです。2の考えはウィルスの残党が生き残って脳や腎臓などで増殖し炎症を起こしていることが後遺症の原因であるという考えです。
少ない新型コロナウイルスでも症状が残り続ける
例え、新型コロナウィルスが10%に減っても症状は残る
通常新型コロナウィルス感染症の症状は、暴露するウィルス量が多いほど重症化すると言われています。だとすると、何らかの理由で体内のウィルス量が90%減り10%になったら症状が改善されると思われますが、そうではありません。
体内でウィルスが増殖すると、侵入してきたウィルスを破壊し、体を元に戻します。その時に現れるのが、いわゆる「炎症」と言われているものです。
体に異物が侵入すると、免疫が働き「炎症」が起き、体を元に戻します。免疫が働き、「炎症」がおさまるまでのプロセスは当然ウィルスの量には関係ありません。ウィルスが少なくても、多くても同じプロセスで炎症が治まります。
したがって、症状がある人のウィルスが減少しても「症状がなくなる」「炎症がはやく治る」と言うことはありません。
蚊に10ヶ所さされても、1ヶ所刺されただけでもどちらもかゆい
蚊の多い地域に住んでいる方の中で、「外出したら運が悪く蚊の大群に襲われてしまった」という経験のある方もいるかと思います。
「炎症」に関しては、どなたも体験している蚊を例に説明すると分かりやすいです。蚊に刺された箇所は、赤くふくれ、かゆいです。目で見ることができ、症状も鮮明ですのでイメージしやすいからです。そこで、蚊に刺されてできた「炎症」を例に説明します。
蚊に刺されるとなぜ腫れる?炎症のしくみ ~炎症の4徴候、慢性炎症、抗炎症薬~
この動画は「ネコかん【ネコヲの解剖生理学】」内の「蚊に刺されるとなぜ腫れる?炎症のしくみ」です。蚊に刺された時に体はどのように回復しているのかよく理解できたと思います。
「症状」とは、「病気や怪我の状態、 病気などのために現われる現象・状態。 病状。 症候」をいいますが、病気や傷を治すために起きている「炎症反応」によるものなのですね。
さて、蚊に刺された時の症状は、10ヶ所さされても、1ヶ所刺されただけでもかゆいです。細菌・ウィルス・異物量や傷の大小が10分の1に減っても症状が出る場合があるのです。
したがって、症状が出てしまった人のウィルスが減少しても「全く症状がなくなる」「炎症がはやく治る」と言うことはありません。(別な要因が加わると、症状がさらに長引く人もいまます。また、体質や「炎症」の起きた箇所によっても症状が激しく出る場合もあります。)
しかし、ウィルスや細菌・異物の量が10分の1になれば、体の受けるダメージは10分の1になります。感染してもウィルスをはやく減少させることで、症状は感じたとしても、体はうんと楽になります。
後遺症対策
予防
治療法が完全に確立されていないので、現時点で完全に後遺症に悩まされないための予防手段は、
- 感染しない。
- ワクチンを接種する
2つです。ワクチン接種が進み症状が比較的軽くなったにも関わらず、後遺症の報告は後を絶ちません。万人が新型コロナウィルス感染症の後遺症のリスクを背負っているのです。
後遺症が出たら
後遺症が出てしまったら、
- 無理をしない
症状が軽いから、症状が出ていないからといって、仕事やプライベートで頑張ってしまったとか、お酒など不摂生を重ねたとか、そういうことをすると、ぶり返したり、症状が重くなったりすることがみられます。 - はやめに医師に見てもらう
医師による早期に適切な治療を開始した方は、治療の早い段階から症状の軽減がみられ、症状が治まったという方も多くいます。
症状を抑える薬
医師に症状を抑える薬を処方してもらえば負担も軽減できます。
鼻うがいおよび上咽頭炎へのBスポット療法
新型コロナ後遺症では上咽頭(鼻とのどの間の部分)に炎症を起こしてしまっていることがかなりの頻度で起きています。この部分を治療するのが上咽頭擦過治療(以下EAT)、および鼻うがいです。Bスポット療法を行うことで自律神経を改善させ、これらの後遺症の改善につながるという説があります。 - ワクチンを接種する
体内にウィルスが残っていることが後遺症の原因であれば、ワクチンを接種し免疫を再度活性化することで、ウィルスが消滅する可能性があります。 - ウィルスを減らす薬を飲む
現時点では、後遺症患者に処方できる「ウィルスを減らす薬」はありません。「ウィルスを減らす薬」が使えるようになれば、新型コロナによるダメージを抑えることができるだけでなく、ウィルスが減るので感染をふせいだり、後遺症のリスクを減らしたりできます。
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