新型コロナに感染後、10歳未満の子どもで亡くなったのは4件目
栃木県で基礎疾患のない10歳未満の女の子が新型コロナウイルスに感染し、先月29日、亡くなるという痛ましいことが起きました。
通常、子どもは感染しても重症化することはないと言われています。厚生労働省によりますと10歳未満の子どもで亡くなったのは先月26日までで4件です。
今回亡くなった原因は急性脳症です。
新型コロナに限らずお子様が、とろとろとして眠りたがる様子がみられるとき、名前を呼んだりつねったりしたときに、いっとき目を開けてもまた眠ってしまうような様子がみられるときにはすぐに受診をしてください。
症状が悪化するまでの経過
1 新型コロナに感染が判明し、軽症だったので自宅療養
女の子は先月下旬、新型コロナウイルスに感染し発熱などの症状はあったものの、軽症だったため保健所の指示で自宅で療養していたということです。
2 容体が急変して病院に救急搬送
その後、容体が急変して病院に救急搬送され集中治療室で治療を受けていましたが、先月29日、感染による「急性脳症」で死亡したということです。
女の子は新型コロナウイルスのワクチンを接種できる5歳に達していましたが、これまでに接種はしていなかったということです。
小児の急性脳症
急性脳症は脳の急激な浮腫(むくみ)によっておう吐や血圧・呼吸の変化、意識障害、けいれんなどがみられる脳の危険な状態で、さまざまな原因で起こります。
急激に脳の異常がおこる状態には、髄膜炎、脳炎やてんかん発作など多くの原因があります。脳の異常がおこる状態の中で原因をはっきりとみつけることのできない状態を急性脳症と言います。
ウィルスが原因
ウイルス感染症に伴っておこるインフルエンザ脳症が有名ですが、そのほかのウイルス感染に伴っても起こりやすいですし、サルモネラ菌による食中毒にともなって起こる場合などもあります。
薬の副作用が原因
薬の副作用として急性脳症の症状が現れることがまれにあります。アスピリンなどの熱さまし、抗ヒスタミン薬を含むかぜ薬や、気管支を広げるためのぜんそくの薬などの他、てんかんを治す薬や免疫を抑える薬などの一部の薬が、小児の急性脳症の発症に関係のある場合があります。
一般的な症状
- 意識障害、けいれん、異常行動・言動などの神経症状が挙げられます。重症の意識障害ではずっと眠ったような状態で、手足をつねっても目覚めない状態になります。
- 軽症の場合は、視線が合わない、幼児ならあやしても声を出して笑わない、年長児では自分の名前が言えない、場所がわからないなどの症状が典型的です。
- また、両親がわからない、幻覚を見る、意味不明な言葉を発する、異常におびえる、突然怒ったり泣いたりするといった言動や行動が見られることもあります。
- 急に発症して悪化するタイプの場合は、発熱から1~2日以内にこのような症状が出てどんどん悪化しますが、数日かけて発症するタイプの場合は、いったん症状が治まり、3~7日後に急性脳症の症状が明らかとなります。
けいれんが15分以上続く場合や繰り返す場合、意識障害が改善しなかったり、異常行動・言動が続いたりする場合は、急性脳症の可能性を考える必要があります。
『ふだんと違う』と感じるなら救急車を呼ぶか、病院で受診するようにしてください。
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