新型コロナウィルスから家族やお子さんを守る
新型コロナウィルスから、あなたやあなたの家族を守る最善の方法は、ワクチンを接種することです。しかし、家族の中にはワクチン接種が出来なかったり、健康上ワクチン接種に不安を感じたりする人もいます。
ここでは、様々なケースに応じて、新型コロナウィルスからワクチンを接種して家族を守る手立てについて考えていきたいと思います。
家族の中にワクチンを接種できない人がいる
家族の中にワクチンを接種できない人がいるケースは次の3通りあります。
- 12歳未満のお子様はワクチンを接種できません。
- 既往症やアレルギーがある為、健康上理由でワクチン控えるように医師から言われている場合は接種できません。
- ワクチンを打ちたくないと拒否している人も打つ必要はありません。
ワクチンを接種しない、接種できない家族を守るには、周囲の成人が積極的にワクチンを接種し免疫を獲得することが重要です。
16歳以上の約4万人を対象とした研究では、2回接種後のワクチン効果は95%(95% 信頼区間、90.3~97.6)で、発症を予防する高い効果が報告されています。
周りの家族がワクチンを接種するで、成人から子どもへの感染が予防できるようになり家庭内感染を防ぐことが出来るようになります。
思春期の子供のワクチン接種に迷う
12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種は、意義は大いにあります。新型コロナウィル感染症の予防対策の影響で子どもたちの生活は様々な制限を受け、子どもたちの心身の健康に大きな影響を与え続けています。
そのため、12歳以上16歳未満のお子様を持つ家庭では、可能な限り早くワクチンをお子さんに接種させたいと思う気持ちがある中で、まだ、子どもの接種に関する情報が十分でないために接種をためらう気持ちも生まれ、複雑な気持ちでいると思います。
次に、子どものワクチン選手のメリット・デメリットについて考えたいと思います。
新型コロナワクチンの子どもへの効果
国内で12~15歳にも接種できるファイザー社製のワクチンの臨床試験では、有効率100%という結果でした。
偽薬を接種した978人で16人が発症しましたが、ワクチンを2回接種した1005人では発症はゼロでした。
2回接種により獲得される中和抗体の量は、16歳から25歳に比べて約1.8倍程度高いことがわかりました。
有効率50%前後とされるインフルエンザワクチンと比べると、発症を抑える効果は非常に高いと言えます。
新型コロナワクチンは、発症を抑える効果は非常に高いと言えます。
子どもは副反応が強く出ませんか?
副反応は、成人・高齢者と同じ
子どもだから、特別に危険というわけではありません。ファイザー社の臨床試験では、12~15歳の安全性は「16~25歳と同様」と評価されました。
主な副反応は、成人・高齢者と同じで接種した場所の痛み、だるさ、頭痛、発熱などです。
2回目の接種後に12~15歳が38度以上の熱が出る割合は16歳以上と比較して高いです。
2回目の接種後に12~15歳が38度以上の熱が出る割合は、
- 12歳~15歳19・6%
- 16歳~55歳15・8%
- 56歳以上10・9%
となっています。
若い人ほど2回目接種後に高熱が出る確率は高いです。
高齢者と比べて思春期の子ども達、若年成人では接種部位の疼痛出現頻度は約90%と高く、接種後、特に2回目接種後に発熱、全身倦怠感、頭痛等の全身反応が起こる頻度も高いことが分かっています。
若い人ほど体外からの「異物」に対抗する免疫の反応がしっかりしていると考えられます。接種後、若い男性に心筋炎(100万人に1人程度)が起きたとの報告もありますが、ほとんどが治療で軽快しています。
子どもは感染しても症状は軽いです。ワクチンの発熱の方がリスクがあるのでは?
子どもの症状は比較的軽いケースが多い
日本小児科学会の会員が登録した20歳未満の感染者2100人(6月17日現在)をみると、新型コロナウィルス感染症に感染した子どもの45%が無症状で、87%は治療をしないで回復しています。
確かに、子どもの症状は比較的軽いケースが多く、発熱などの副反応で苦しむ方が本人にとってはマイナスが大きいようにみえます。
変異株の影響で重症化が低年齢化しています。今後、お子さんにも重い症状が出る可能性があります。
こうした重い症状を防ぐのもワクチンの大きな目的です。
しかし、これまでは重症化する子どもは少なかったですが、変異株の影響で状況が変わることもあり得ます。感染の数週間後に、心臓などの複数の臓器に炎症が起きる小児特有の病気「多系統炎症性症候群(MIS―C)」が国内でも確認されています。こうした重い症状を防ぐのもワクチンの大きな目的です。
新型コロナに感染すると、他の病気とは比較にならない制約と精神的負担を受けます
新型コロナウィルスに感染した場合、他の病気とは比較にならない制約と精神的負担を受けます。
- 家族全員が濃厚接触者として待機しなくてはいけません。
- 家族全員が職場や学校等に行くことはできません。
- 友達や同僚に移していないか、強い精神的負担や後悔に襲われます。
- マスコミ・世間の目もあり、負い目を感じて生活しなくてはいけません。
新型コロナに感染したマイナスは、新型コロナワクチンの副作用と比べ物にならないほど大きいです。
しかも、多くの人がワクチンを接種すれば、新型コロナに怯えて暮らす必要はなくなります。新型コロナウィルスによってどれほど私たちの生活が脅かされ、制限されてしまっているか考えてください。
子どもはワクチン接種をするべきですか。
既往症があって重症化の恐れのあるお子さんは医師と相談して積極的に接種をしましょう
子どもで接種してほしいのは、既往症があって新型コロナに感染すると重症化の恐れのある場合です。
海外では、神経疾患、慢性呼吸器疾患および免疫不全症の子どもの新型コロナウイルス感染例において、重症化が報告されています。
国内においても接種対象年齢となる基礎疾患のある子どもの重症化が危惧されますので、ワクチン接種で既往症のあるお子さんの重症化を防ぐことが期待できます。
既往症があって新型コロナに感染すると重症化の恐れのあるお子さんは医師と相談して積極的に接種をするようにしてください。
新型コロナに打ち勝ち、正常な生活を取り戻すために、出来るだけ多くの日本人が接種を行う
希望している国内に生活している人が、できるだけ多く・早く接種を済ませ、新型コロナに怯えることなく正常な日常生活を過ごしたいのは、多くの人の正直な気持ちです。私たちは「健康で文化的な生活」を送る権利を持っています。新型コロナに怯え、その権利が脅かされている今の生活を早く抜け出したいです。
新型コロナに打ち勝ち、正常な生活を取り戻すために、出来るだけ多くの日本人が接種を行うことが大切です。
接種は任意ですが、新型コロナの感染が広がりにくい社会にするには、できるだけ多くの人が接種することが重要です。7割くらいの人が受ければ、流行が抑えられるとされています。集団免疫を日本国内で獲得すれば、12歳以下のお子さんや健康上の都合で接種できない人たちも守ることもできます。
子どもの接種は、集団と個別のどちらを選ぶといいでしょうか。
日本小児科学会や日本小児科医会は、個別接種が望ましいとする考えを示しています。
かかりつけの医師でワクチンを接種するメリットは、
- 接種の必要性の説明や副反応等の本人・保護者への十分な説明と同意確認、問診・接種・経過観察までが通常の診察として実施することが可能になります。
- 子どものワクチンの接種に精通した小児科医やそのスタッフが接種等に係わることができます。
- 接種後短時間発症副反応(アナフィラキシー、血管迷走神経反射)への対応や治療が即できます。
- 接種後時間が経過してからの慢性的な疼痛や種々の不定愁訴等への対応がしやすい。
- 副反応報告等の事後措置体制が確立している。
等があります。
また、気を付ける点としては、夏休み中であれば大丈夫ですが、学期に入ってから打つと学校の授業や行事を休む必要がでてきます。
かかりつけの医療機関などでの医師と相談し、お子さんの体をよく知っている医師による個別接種を前提に考え接種を行ってください。
医師に疑問や不安を伝えて、説明を聞いても解消されないなら、接種をやめる選択肢もあります。
mRNAワクチンは初めて実用化されたワクチンで未知の副作用が心配
ワクチンに含まれるmRNAについて心配する声もありますが、厚生労働省は、mRNAは短期間で分解され、人の遺伝情報のDNAに組み込まれるものではないと否定しています。
呆れるほど「フェイクニュース」を流れています。
- ワクチン接種上のトラブルや失敗・ワクチン接種を進める日本の行政の徹底した根拠の乏しい批判報道
- mRNAワクチンの恐怖を煽るフェイクニュース
- 日本が台湾に送ってワクチンで台湾の人が多く死亡したなどの嘘の噂
などなど、ワクチン接種の恐怖を煽る報道がなされ、SNSでの拡散が行われています。
どんな医療でも、薬も100%の安全はなく、ワクチンに関しても「ゼロリスク」はありません。また、迷っていたり、不安があったりすると、リスクが大きく見えやすくなります。副反応のリスクが感染のリスクより大きく見えることもあるかもしれません。
誤った情報に惑わされないために、科学者が精査して発信している日本小児科学会や厚生労働省などの情報を参考にしてください。
お子さんのワクチン接種に関しては、接種するのリスクと利益をてんびんにかけて、お子様に取ってより良い結果となる結論を、親が導き出してください。
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