梅雨明けでコロナ対策に加えて熱中症対策が求められる
日本の太平洋側の地域で梅雨明けが宣言されました。気温の高い日が続くこれからの時期、熱中症対策に万全に行う必要があります。新型コロナウイルス感染症については、いままでどおり、基本的な感染対策を継続すると同時に、夏季の高温や多湿の環境下でのマスクの着用は熱中症のリスクを高める恐れ
があることから、特に屋外での活動においては、マスクを外すことが求められます。
新型コロナの感染がなかなかおさまらない中、コロナ対策と熱中症対策を行う必要があります。ここでは、新型コロナ対策を踏まえた熱中症予防についてまとめていきます。
熱中症とは?
熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のことを言います。
暑熱下での体調不良はすべて熱中症の可能性があります。
- 熱失神は「立ちくらみ」、熱けいれんは全身けいれんではなく「筋肉のこむらがえり」です。
- 熱疲労は、全身の倦怠感や脱力、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢などが見られる状態です。
また、熱中症の重症度を「具体的な治療の必要性」の観点から、Ⅰ度(現場での応急処置で対応できる軽症)、Ⅱ度(病院への搬送を必要とする中等症)、Ⅲ度(入院して集中治療の必要性のある重症)に分類しています。
現場で確認すべきことは、意識がしっかりしているかどうかです。少しでも意識がおかしい場合に
は、Ⅱ度以上と判断し病院への搬送が必要です。「意識がない」場合は、全てⅢ度(重症)に分類し、絶
対に見逃さないことが重要です。また、必ず誰かがついて、状態の変化を見守る必要があります。応急
処置にもかかわらず悪化が見られる場合には症状にかかわらず病院へ搬送します。
重症度によって、次の3つの段階に分けられます。
Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる軽症

次のような症状が見られる時には、すぐに涼しい場所へ移し体を冷やすこと、水分を与えることが必要です。そして誰かがそばに付き添って見守り、改善しない場合や悪化する場合には病院へ搬送します。

めまい・失神
「立ちくらみ」という状態で、脳への血流が瞬間的に不充分になったことを示し、“熱失神”と呼ぶこともあります。
筋肉痛・筋肉の硬直
筋肉の「こむら返り」のことで、その部分の痛みを伴います。発汗に伴う塩分(ナトリウムなど)の欠乏により生じます。
手足のしびれ・気分の不快
Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等症

現場で確認すべきことは、意識がしっかりしているかどうかです。少しでも意識がおかしい場合には、Ⅱ度以上と判断し病院への搬送が必要です。すぐに救急車を呼んでください。

頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感
体がぐったりする、力が入らないなどがあり、「いつもと様子が違う」程度のごく軽い意識障害を認めることがあります。
自分で水分・塩分を摂れないときには、すぐに救急車を呼んでください。
Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症

「意識がない」場合は、全てⅢ度(重症)に分類します。入院して集中治療の必要性があります。
意識障害・けいれん・手足の運動障害
呼びかけや刺激への反応がおかしい、体にガクガクとひきつけがある(全身のけいれん)、真直ぐ走れない・歩けないなど。
高体温
体に触ると熱いという感触です。
肝機能異常、腎機能障害、血液凝固障害
これらは、医療機関での採血により判明します。
熱中症が起こりやすい場所
熱中症といえば、真夏の暑い中で起きることを想像するかもしれません。しかし、炎天下ばかりでなく、体温に影響を与える環境にいる場合、熱中症に注意をする必要があります。
具体的には、次のような環境では注意が必要です。
- 気温が高い、湿度が高い
- 風が弱い、日差しが強い
- 照り返しが強い
- 急に暑くなった
意外なところでは、気温が低い日でも湿度が高いと熱中症にかかりやすくなります。
また、家の中でじっとしていても室温や湿度の高さから熱中症にかかることもあります。高齢者の場合、夜中に寝ているだけで熱中症になっていることもあります。
救急が呼ばれた場所では、
- 住宅等居住施設が全体の37%
- 次いで道路・交通施設が25%を占めています。
この様に最近では室内でおきる熱中症の事例が注目されるようになってきました。今までは熱中症だとは気がついていなかったのです。どのような場所にいても、体のバランスに変化がおきる環境を作っていないか注意が必要です。
熱中症を予防するには?
熱中症を予防するには、次のようなことに気をつけましょう。
暑さを避ける

『熱中症警戒アラート』発表時には、外出をなるべく控え、暑さを避けましょう。
<室外>
外出時には、吸湿性・速乾性のある通気性の良い衣服を着用、日陰の利用

帽子や日傘を使う、保冷剤、氷、タオルなどで体を冷やす。

<室内>
家の中では、ブラインドやすだれで直射日光を遮る、扇風機やエアコンで室温・湿度を調整するなど。

服装を工夫
理想は、外からの熱の吸収を抑え、体内の熱をスムーズに逃がす服装。
素材は、吸収性や通気性の高い綿や麻などがいいでしょう。
また、熱がこもらないよう、襟ぐりや袖口があいたデザインもおすすめです。ちなみに、薄着のほうが涼しいとはいえ、インナーを着たほうが肌とインナー、インナーとアウターの間に空気の層ができ、外からの熱気を遮断してくれます。
ネッククーラー
首を即冷却 10分で凍る ひんやり冷感 クールネック 保冷剤
こまめな水分補給
暑い日には知らずしらずのうちに汗をかき、体内の水分が失われているもの。のどが渇く前からこまめに水分を補給しましょう。

ただし、コーヒーや緑茶などのカフェインが多く含まれている飲み物、アルコール類は利尿作用があるので適しません。ちなみに、スポーツ飲料は水分とミネラルを同時に補給できますが、糖分が多いのが欠点。飲み過ぎには注意が必要です。
また、汗をかくと、水分と一緒にミネラルやビタミンも失われます。水分補給だけではなく、ミネラルも補給するようにしましょう。 ミネラルを補給するには、麦茶などのほうがいいでしょう。
○ 暑さに備えた体作り
ウォーキングやランニングなどの運動で汗をかく習慣を身につけることも、大事な予防法の一つです。
日頃から暑さに身体を慣らしておきましょう。
熱中症の応急処置
熱中症が疑われる場合は、次のような応急処置を行いましょう。

1. 涼しい環境に移す
風通しの良い日陰や、クーラーが効いている室内に
2. 脱衣と冷却
衣類を脱がせて、体内の熱を外に出します。さらに、露出させた皮膚に水をかけ、うちわや扇風機などで仰いだり、氷嚢で首やわきの下、太ももの付け根を冷やし、体温を下げます。
3. 水分と塩分を補給する
冷たい水、特に塩分も同時に補える経口補水液やスポーツ飲料などを。ただし、意識障害がある場合は水分が気道に流れ込む可能性があります。また、吐き気や嘔吐の症状がある場合には、すでに胃腸の動きが鈍っていると考えられるので、口から水分を入れることは避けましょう。
こんなときには医療機関に!
- 熱中症を疑う症状があり、意識がない、または呼びかけに対する返事がおかしい場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
- 意識がある場合は、まず、応急処置を行います。水分を自力で摂れない場合は、医療機関へ。
- 水分を自分で摂れ、必要な応急処置を行ったものの、症状が改善しない場合も、医療機関に行きましょう。
新型コロナ対策中、夏場のマスクの着用の考え方
屋外でのマスク着用について
会話をしない場合

- ランニングなど離れて行う運動や、鬼ごっこのような密にならない外遊びなど、屋外で、2メートル以上を目安として他者との距離が確保できる場合はマスクを着用する必要はない。
- 徒歩での通勤など、屋外で人とすれ違うことはあっても、会話はほとんど行わない場合は、マスクを着用する必要がない。
夏場は、熱中症防止の観点から、屋外でマスクの必要のない場面では、マスクを外すことを推奨します。
会話する場合

- 屋外では、人との距離(2m以上を目安)が確保できる場合や、距離が確保できなくても、会話をほとんど行わない場合は、マスクを着用する必要はありません。
- 屋外であっても、近い距離で会話をするような場面では引き続き、マスクの着用を推奨する。
- 夏場については、熱中症になるリスクが高くなるので、マスクを着用する必要はない場面では、マスクを外していただくことを推奨する。
屋内でのマスク着用について
会話をする場合

- 他者との距離が確保できており、会話がほとんどない場合は、マスクをはずすことも。
- 会話を行う場合は、マスク着用を推奨する。
- 距離が確保できない場合で、会話を行うときはマスクの着用をする。
会話をしない場合

- 他者との距離が確保できており、会話がほとんどない場合は、マスク着用は必要ない。
- 買い物など人が多い場所ではマスクを着用する。

- 通勤電車の中など距離が確保できない場合で、会話をほとんど行わないときについても、着用を推奨する。
- 高齢者施設や病院に行く時は、マスクを着用しましょう。
子どものマスク着用について
2歳以下
- 子どものマスク着用については、2歳未満については、マスク着用は奨めていません。
2歳以上の就学前の子どもについて
- 他者との距離にかかわらず、マスク着用を一律には求めない。
- 保育園など施設内に感染者が生じている場合などにおいて、施設管理者等の判断により、可能な範囲で、マスク着用を求めることは考えられます。この場合でも、マスク着用を無理強いすることのないように配慮する。
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