なぜ、追加(3回目)接種が必要なのですか。
新型コロナワクチンは、高い発症予防効果等がある一方、感染予防効果や、高齢者においては重症化予防効果についても、時間の経過に伴い、徐々に低下していきます。このため、感染拡大防止及び重症化予防の観点から、初回(1回目・2回目)接種を完了したすべての方に対して、追加接種の機会を提供することが望ましいとされています。
ファイザー社のワクチンを接種された人の情報を集めた米国での研究によると、12歳以上における感染予防効果は、2回目接種後1ヶ月以内では88%であったところ、5~6ヶ月後には47%にまで低下したとの報告があります。発症予防効果についても、6ヶ月間の追跡調査の結果、2回目接種後7日以降2ヶ月未満では96.2%であったところ、4ヶ月以降では83.7%であり、経時的に低下していくことが確認されています。
武田/モデルナ社のワクチンについても、感染予防効果については、全年代において、2回目接種の約1~4ヶ月後ではおおよそ97%であったところ、その約4ヶ月後には80%前後に低下したという報告もあります。
このようなデータを踏まえ3回目の接種が決定されました。
3回目の接種は、ファイザーかモデルナワクチンを打ちます
3回目の接種に使用するワクチンは、初回接種に用いたワクチンの種類に関わらず、mRNAワクチン(ファイザー社のワクチン又は武田/モデルナ社のワクチン)を打ちます。
追加接種に使用するワクチンは、初回接種に用いたワクチンの種類にかかわらず、mRNAワクチン(ファイザー社のワクチン又は武田/モデルナ社のワクチン)を接種します。
日本では現在、どちらのワクチンも薬事承認されており、12歳以上の方を対象に順次、追加接種が進められています。追加接種では初回接種時に用いたワクチンの種類にかかわらず、ファイザー社又は武田/モデルナ社のワクチンのいずれかを使用することが可能です。
また、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンのワクチン接種が5歳から3月以降から接種できるようになります。
3回目接種の効果
ファイザー、モデルナの両社とも、3回目接種でオミクロン株感染を防ぐ抗体の量が上昇したと報告しています。
① ファイザー製は接種前に比べて25倍
② モデルナ製は投与量に応じて37~83倍に増える
と発表しています。それぞれ、「感染予防効果が期待できる」「極めて有効」と発信しています。
交互接種でより免疫の強化につながりうる
昨年の10月に公開されたアメリカの共同研究(査読前論文「medRxiv」)によると、交互接種よって、3回目接種から15日後の中和抗体量(平均)の増加が、以下のとおり違ってきます。
●1・2回目ファイザー + モデルナ追加 → 31.7倍
●1・2回目ファイザー + ファイザー追加 → 20倍
●1・2回目モデルナ + ファイザー追加 → 11.5倍
●1・2回目モデルナ + モデルナ追加 → 10.2倍
3回目の接種では1・2回目とは違うワクチンを選んだほうが、同じ種類を選ぶよりも免疫の強化につながりうる結果となっています。
いずれの方法にしても10倍以上の効果はあります。10倍に効果が上がれば新型コロナに対する効果は十分です。すなわち、どちらのメーカのワクチンでも十分ワクチンを接種した効果は期待できます。
3回目のワクチン接種は、ファイザー製・モデルナ製のどちらを選ぶ
より効果を期待するのであればモデルナ製を選ぶ方がベターです。しかし、副反応等の安全性ではファイザー製の方が信頼が高いです。
先ほども書きましたが、オミクロン株に対しても効果はどちらも十分ですので、ワクチンの種類にこだわらずまずは接種することが大切です。
1・2回目をファイザー製のワクチンを接種した人は、モデルナ製・ファイザー製のどちらを選択してもより高い効果を期待できます。より 効果を期待する人は、初回の接種とは違うワクチンを選択するようにしてください。
3回目のワクチン接種での副反応はモデルナが少し多い
1・2回目のワクチン接種では、モデルナのほうがファイザーよりも副反応の頻度は高い傾向が出ていた
3回目のワクチン接種でもどんな副反応があるかどうかについては1・2回目とあまり変わらないと言われています。 1・2回目 の副反応はだいたい次のようです。それを参考にしてください。
両者の実施した治験の結果では、副反応はモデルナ製ワクチンの方が若干強く出るようです。これは、mRNAがモデルナの方が多いことが原因かもしれません。
特にモデルナでは、いわゆる「モデルナアーム」と言われる、ワクチン接種の後にやや遅れて(4~11日後)腕がかゆみを伴って赤く腫れる現象が0.8~3.5%に起こるようです。
これはファイザーではあまり見ない副反応です。
接種部位の痛みはほぼ全員に起きるるようで、接種する時には接種部位の痛みは覚悟しておきましょう。
初回接種時と比較して、リンパ節の腫れの発現割合が高いこと(ファイザー社:5%程度、武田/モデルナ社:20%程度)が、米国で実施された臨床試験の結果の中で報告されています。
3回目のワクチン接種での副反応は、モデルナの方が少し多い
2回目の接種まではファイザーのmRNAよりもモデルナのmRNAの方が発熱、倦怠感、頭痛などの副反応が多かったです。
モデルナは3回目の接種の際は投与量が半分になっていますが、ファイザーと比べて副反応の頻度が高いという結果が出ています。
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種後の副反応について厚生労働省研究班は、1~3回目全てが米ファイザー製の人より、3回目だけ米モデルナ製に変えた人の方が、発熱などの発生頻度が高かったとする分析を公表しました。
しかし、接種後の抗体価は、ファイザーからモデルナに変えた人で増え方が大きいです。
1・2回目ファイザー + 3回目モデルナ追加 → 抗体が多く出来るが副反応も多い
副反応が出ると言うことは、それだけ多くの抗体を作っているということです。「副反応が多い」は「ワクチンの効果が高い」という意味です。
<発熱>
3回目がモデルナ製では37・5度以上の発熱は68・0%に対してファイザー製は39・8%と低いです。
20代は81・6%だが、60代以上は46・7%と若いほど発熱の副反応は多いです。38度以上の発熱は、モデルナ製49・2%に対してファイザー製21・4%という結果でした。
発熱の副反応の大半は接種翌日に出ますが、3日目までにはほとんどが治ります。
<発熱以外の良く出る副反応>
頭痛や全身倦怠(けんたい)感などの発熱以外の副反応についても、モデルナ製のほうが多いです。
3回目のワクチン接種はファイザーとモデルナのどちらが良いでしょうか?
高齢者では若い人と比べると副反応が少ないこと、また心筋炎のリスクも極めて小さいことから、多少効果の高いモデルナを選択する方がベターです。
発熱や頭痛、倦怠感などの大きく影響を与える副反応は翌日がピーク
副反応の症状は翌日がピークで、2 ~3日で治まります。もしつらい場合も、自宅にある市販の解熱鎮痛剤で十分やわらげることができます。
頭痛・発熱・倦怠感といった全身性の反応は接種翌日に発生することが多いです。この副反応も治験ではモデルナ製ワクチンの方が頻度が高い結果がでています。しかし、接種した翌日に症状が出ても自宅にある市販薬でおさえることができます。
厚生労働省は アセトアミノフェン がベターだが、 アセトアミノフェン 以外の成分の市販薬も服用できることを明示しています。市販されている解熱鎮痛薬で、ワクチン接種後の発熱や痛みなどに使用できるのは次の通り。
※ イブプロフェン と ロキソプロフェン は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) なお、 アセトアミノフェン は、低年齢の人や妊娠中・授乳中の女性でも使用できるが、製品毎に対象年齢などが異なるので、対象を確認のうえ使用するよう注意を呼びかけている。
発熱や頭痛の症状が出た後であれば、何でも大丈夫です。「 アセトアミノフェン 」にこだわる必要はありません。
ワクチン接種の翌日、場合によっては接種翌々日も含め、あまり予定を入れないほうが安心かもしれません。特に1回目の接種後の副反応が目立った方は、2回目の接種の翌日は十分休息をとれる環境であるほうが無難でしょう。
なお、こうした副反応は65歳以上の高齢者では頻度がやや低いです。
新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー
アナフィラキシーは女性に多い
両者の治験では、100万回あたりファイザー製ワクチン4.7回、モデルナ製ワクチン2.5回でファイザー製ワクチンがモデルナ製よりも高い頻度となっています。
米国でのデータによれば、新型コロナワクチン(mRNA型であるファイザー社製およびモデルナ社製)接種後のアナフィラキシーは、女性にほぼ限って生じています。
逆に、アメリカの有名病院における約65000人のワクチン接種(内訳はファイザー社40%、モデルナ社60%)後の副反応の報告です。これによりますと、アレルギー反応はファイザー社で1.95%、モデルナ社で2.20%とモデルナ社が若干頻度が高いという結果でした。死亡した人はいませんでした。
日本ではファイザー製ワクチンのアナフィラキシーが欧米の報告よりも多い
ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチン接種後のアナフィラキシーが日本では欧米の報告よりも多いことが注目されています。
日本では最初に医療従事者にファイザー社製ワクチンが接種されてました。接種を受けた医療従事者約17万人のうち7人にアナフィラキシーが発生したというのです。そのほとんどが女性でした。
重篤な呼吸器障害あるいは循環器障害(低血圧)を伴う急性アレルギー反応がアナフィラキシーと言われていますが、そのとらえ方が海外よりも日本の医師の方が敏感にとらえていることが原因と考えられます。
以上から、どちらのワクチンが アナフィラキシーの頻度が高いと言い切ることはできません。
新型コロナワクチンが他の薬剤に比べてアナフィラキシーの頻度が高いというわけではない
アナフィラキシー 症状が出る事例は極めて稀で、新型コロナワクチンが他の薬剤に比べて突出してアナフィラキシーの頻度が高いというわけではないようです。また、 アナフィラキシー の症状が出ても適切な治療を行うことで症状を抑えることが出来ます。現時点で、 アナフィラキシー が原因で死亡者が出たと言う事例はありません。
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