助けられる命であれば助けたい、塩野義経口薬「ゾコーバ」「BA.2.75」に高い抗ウイルス活性

対策
coronavirus covid-19 pandemic outbreak virus background concept

新型コロナに感染した32歳男性 自宅で死亡

新型コロナへの感染が判明した32歳の男性がその日のうちに自宅で心肺停止となり、死亡していたことが分かりました。

男性は7月23日の夜、自宅で発熱や呼吸が苦しいなどの症状を訴え家族が119番通報しました。しかし、救急隊が到着した時にはすでに心肺停止の状態で意識はなく、関係者によりますと搬送先の病院で死亡が確認されたということです。

消防によりますと男性はその日に感染が判明したばかりで、新型コロナ以外の疾患があったがどうかは分かっていません。

若い人が新型コロナに感染し死亡するニュースを耳にすることは、悲しく辛いものです。助けられる命であれば助かってほしいと強く思います。また、助けることが出来る手段があるにも関わらず、助けることをしなかったとしたら怒りを覚えます。

高齢者を中心に重症者や死亡が増加

第7波の爆発的な拡大で、新規感染者数が連日過去最多を更新する中、亡くなる人の数も増えていて、今月に入ってからの死亡の発表は増加を続けています。厚生労働省の専門家会合は、今後、高齢者を中心に、重症者や亡くなる人の数が増えることが懸念されるとしています。

現在、感染の主流になっている「BA.5」も含めてオミクロン株は、重症化のリスクが低いとされ、致死率は、およそ0.04%となっています。しかし、高齢者の感染が増えると、遅れて亡くなる人が増えることが懸念されています。

「BA.2.75」感染の広がりやすさ 「BA.5」の1.14倍

オミクロン株の1種の「BA.2.75」の感染の広がりやすさは、現在、感染の主流となっている「BA.5」の1.14倍になっているとする分析を、京都大学の西浦博教授らのグループが公表しました。

京都大学の西浦教授と北海道大学の伊藤公人教授らのグループは、5月から先月上旬にかけてインドで報告された「BA.2.75」やほかの変異ウイルスのデータをもとに、感染の広がりやすさの違いを分析しました。

その結果、「BA.2.75」の、1人が何人に感染を広げるかを示す「実効再生産数」は現在、感染のほとんどを占めると推定される「BA.5」の1.14倍、感染の第6波で主流だった「BA.2」の1.36倍と推定されたということです。

日本で「BA.2.75」が急拡大する可能性は低いものの、警戒感を持って当たる必要があります。

塩野義「ゾコーバ」オミクロン株の亜種BA2・75系統への高い抗ウイルス活性を確認

塩野義製薬は、新型コロナウイルス感染症治療薬として開発中の経口抗ウイルス薬「開発番号S―217622」について、非臨床試験でオミクロン株の亜種BA2・75系統への高い抗ウイルス活性を確認したと発表しました。

公表データによると、第Ⅱ相「2b」は軽症・中等症の428例(日本人419例、韓国人9例)が対象。428人を低用量投与、高用量投与、偽薬(プラセボ)投与の3群に分け、1日1回、5日間投与しました。その結果は、低用量と高用量の2群は偽薬群と比べウイルス力価は有意に減少しています。

しかし、ウィルス量の減少は検証されているが、ゾコーバの緊急承認は見送られました。

ウィルス量を減らす薬を症状を減らす効果で判定するのは間違い

緊急承認は見送られた主たる理由は症状の改善が見られなかったことです。症状の改善で「ゾコーバ」を評価すると、鼻水、喉の痛み、咳、息切れという呼吸器症状だけでは有意差があった。しかし12症状改善の総合評価では偽薬群と比べ明確な差は出せなかったのです。

しかし、「ゾコーバ」の評価を症状の改善に求めるのは間違っているのです。

第Ⅱ相「2a」治験で、ゾコーバ投与によるウイルス量減少効果を示すグラフ。審議会の合同会議ではウイルスの減少量の有意差に対する評価に差が出た(塩野義製薬提供)

このように「ゾコーバ」を飲んだ後は確実にウィルス減少し、高い抗ウイルス活性があります。

ここで仮に新型コロナウィルスの症状を抑える薬があると想定して、既に症状が出てしまっている人が「ゾコーバ」を飲んだ時と「症状を抑える薬」を飲んだ時の違いを考えてみましょう。症状の中には、すぐに治まる症状と数日続く症状がありますが、ここでは、後者の数日続く症状を想定して説明します。

「ゾコーバ」を飲んだ場合

症状の変化

既に症状が出ている時点で、ウィルスの増殖を抑えることができる薬を飲んでも、体の中の「炎症」はウィルスが増えた分だけ作られます。数日治まらない症状の場合、新たに増えたウィルスが加わり症状が治まることはありません。

体が受けるダメージ

「ゾコーバ」がウィルスの増殖を抑えるので、増殖するウィルス量は減ります。ウィルスが減った分だけ体の「炎症」も減り、体に与えるダメージは減少します。

症状を抑える薬を飲んだ場合

症状の変化

症状を抑える薬を飲めば、症状を抑えることができ体は楽に感じます。

体が受けるダメージ

症状は治まり楽になるが、増殖するウィルス量は変わりません。ウィルスが増殖した分だけ体の「炎症」も広がり、体に与えるダメージを減らすことはありません。

以上のように、ウィルスの増殖を抑えることが出来る薬を「症状」の有無で判断すると、薬の本当の効果を見落としてしまいます。

本薬を投与した時点で、既に新型コロナウィルスの「症状」は既に出てしまっています。増殖するウィルス量が減っても体の「炎症」は広がり続け症状は残ります。しかし、「ゾコーバ」は、ウィルス量を減らすことが出来るので体に与えるダメージを抑えることが出来るのです。

助けられる命であれば助けたい

正しい値は知りませんが、グラフから計算すると「ゾコーバ」はウィルスの増殖を30~40%抑えることができているようです。

よくドラマで病気や大けがを人を薬師が見て「今日が峠です」というセリフを耳にします。この峠を乗り越えることができるか、出来ないかの違いは微妙な所です。5%体のダメージを軽減できれば、快方に向かうので峠を乗り越える確率は大きく上昇します。

以上のように「ゾコーバ」はウィルス量を減らすことが出来、体のダメージを大幅に抑えることが出来ると期待できます。BA.5が主流である第7波の感染者では発症から中等症II(酸素投与が必要な状態)以上に悪化するまでの期間が、従来のオミクロン株よりもさらに短くなっており、6割の人が発症から3日以内に悪化しています。検査で「陽性」と判明した時に処方できれば、死亡および後遺症のリスクを減らすことができます。

さらに、本薬は唯一、年齢・症状問わず(一部禁忌もありますが)処方することが可能なです。助けられる命であれば助けることができる可能性を持っています。一刻も早く承認されて、インフル程度の費用で服用できるようになってほしいと思います。

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