34人院内感染の原因は“偽陰性”
神奈川県の小田原市立病院の感染拡大の主な原因は感染しているのにPCR検査で陰性が出る「偽陰性」だと明らかにしました。
感染拡大までの経過は、
- 1人部屋にいた患者が、PCR検査をして陰性と判定された
- 多少症状がよくなったという時点で個室の扱いをやめてしまって大部屋に移してしまった。
- 一緒の大部屋にいた患者5人の感染も確認された
患者増のためPCR検査で陰性が確認されれば、次の患者のために個室をなるべく早く空ける方針だったとのこと。
PCR検査は100%ではない
PCRが主な検査ですが、陽性率が6~7割。裏を返すと、2割3割は陽性であってもそう出ない『偽陰性』として出てしまいます。
感染しているかどうかを調べるためにはPCR検査に頼らざるを得ないところではあるりますが、過信しすぎてはいけません。総合的にレントゲンなり検査なりを含めての対応ということが必要とのこと。
新型コロナPCR検査、偽陰性が多い期間は?
米国ジョンズ・ホプキンズ大学のLauren M. Kucirka氏らが7つの研究のプール解析を行ったところ、偽陰性率は、発症後3日目(感染後8日目)に最も低くなることがわかりました。著者らは、偽陰性の可能性を最小限にするために、検査は発症から3日間待って実施すべきとしています。
主な結果は以下のとおり。
・偽陰性率は感染1日目が100%(95%CI:100~100%)であり、4日目が67%(95%CI:27~94%)と5日目(COVID-19の典型的な発症日)まで減少した。
・発症日(感染5日目)の偽陰性率は38%(95%CI:18〜65%)であった。
・感染8日目(発症から3日目)の偽陰性率は20%(95%CI:12~30%)と最低となり、その後、9日目(21%、95%CI:13~31%)から再び増加し、21日目に66%(95%CI:54〜77%)となった。
感染した日から
1日目 ;偽陰性率100%
2~4日目;偽陰性率67%
5日目 ;偽陰性率38%
8日目 ;偽陰性率20%
9日以降 ;偽陰性率は再び増加する
となります。
体内にウィルスが十分増殖していないとPCR検査で「偽陰性」と判定される確率が高くなります。
やみくもな検査は意味がない
PCR検査では偽陰性(感染しているのに検出されない)、偽陽性(感染していないのに検出されてしまう)の判定がでてしまいます。100%の検査ではありません。
PCR検査で陰性だったから安心して活動できる、陽性だから隔離しないといけない、という判断には使うことは危険なのです。
ましてや医療現場でPCR検査に基づいて治療に当たれば医療ミスの乱発となります。
「生兵法は大怪我の基」です。単に「PCR検査を拡大せよ」との批判は無知から生まれた考えで、混乱の元です。
PCR検査は、目的を明確にして計画的に実施するべきです。
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