PCR検査で新型コロナウイルス感染は「陰性」と判定された入院患者が実は感染しており、相部屋に移って集団感染につながったという事例が神奈川で報告されています。
事例1
4月12日、発熱があった患者に医師の判断でPCR検査をした。新型コロナとは違う病気で入院予定だった。結果は陰性。念のために個室に入り、CT検査もしたが肺炎の疑いはみられなかった。
検査から1週間後、患者は他の患者もいる大部屋に移り、数日過ごして退院した。しかし、発熱が続いて再入院すると、PCR検査で陽性と出た。大部屋にいた患者や担当の職員を検査。計7人の感染が判明した。
事例2
5月2日に新型コロナの感染疑いで入院した患者は、PCR検査で陰性。CT検査も異常はみられなかった。2日後に大部屋に移り、その後、この部屋の患者で発熱が相次いだ。大部屋に移った患者を含め、患者計7人の感染が確認された。
感染確認に使われるPCR検査は、精度の問題を抱える。
PCR検査は、3日後に実施すべき
米国ジョンズ・ホプキンズ大学のLauren M. Kucirka氏らが7つの研究のプール解析を行ったところ、偽陰性率は、発症後3日目(感染後10日目)に最も低くなることがわかった。検査は発症すなわち症状が出てから3日間待って実施すべきとしています。
検査圧力によって誤った検査結果が横行しています。
昨今何を間違ったのか現場へ「早期に検査しろ」というマスコミ等の検査圧力が加わり、日本の新型コロナウィルス検査も混乱しています。
PCR検査は完全ではありません。神奈川の事例のようにPCR検査の誤判定が新型コロナウィルス感染症の感染拡大につながることもあるのです。
北九州市のPCR検査の仕方に問題
北九州市の小学校で同じ学校で5人に感染者が出ました。この件について経過を追ってみます。
- 5月24日まで最初に感染した児童には熱があった。
- 5月25、26日の同児童の登校時は熱がなかった。
- 5月27、28日朝に自宅で検温した際は37度台の熱があったと保護者が健康観察シートに書いていたため、学校で再度検温。平熱だったため教室に入れたという。
- 5月28日日に最初の児童の感染が確認された。
- 5月31日同じ小学校で4人の感染者が確認された。
となっています。
このことから、新たに感染が確認された4人が感染したのは、5月25、26日となります。
したがって、3・4日後に発症するので、4人が発症したのは、5月28、29日と推定されます。
4人の検査結果が発表されたのが31日でしたから検体が採られてのは5月30日ということになります。
つまり、4人の児童は発症してから1日後に検査を受けているのである。この段階では症状がまだ出ていないので体内のウィルスも極めて少ないです。
アメリカの研究では、発症後後1日でのPCR検査は、「偽陰性」率100%となっています。
「擬陽性」率100%とは、新型コロナウィルスに感染していてもPCR検査では「陰性」と出ると言うことです。
つまり、4人の児童は感染1日後に検査を受けているのである。症状が出ていないので体内のウィルスも極めて少ない。アメリカの研究では、感染後1日でのPCR検査は、「偽陰性」率100%です。
ところが、北九州市では通常「陰性」と出るはずの段階の患者を「陽性」と判定しているのです。ウィルスが極めて少ないにも関わらず「陽性」と判定されるので、北九州市のPCR検査は感度が高いと言えます。
感度が高いと「陽性」を多く見つけていいように思えるのですが、反面、「擬陽性」と誤判定をする確率も高くなるので注意が必要です。
北九州市の対応には多くの疑問点
- 5月28日に最初の児童の感染が確認されている。なぜ、この学校は29日から学校閉鎖をしなかったのか?27日に学校感染が発生した恐れがあるので、29日の時点で全校児童を自宅待機にすべきであった。
- PCR検査が正しく出ない感染1日目に検査を行っていることにも問題がある。検査がはやすぎる。
- 4人の児童は早期の検査で「陽性」と判定されたものである。この「陽性」判定は誤判定である可能性もある。全国的に学校再開が進んでいますが、この結果は影響が大きい。「陽性」の疑いとして発表すべきであった。最も正確に結果が出ると予想される6月7日に再度検査し、「陽性」と判定されてから「陽性」を確認と発表すべきである。
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