塩野義製薬が開発した新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」、「BA.2.75」にも有効を確認

対策
3d coronavirus infection spread covid-19 pandemic background

「ゾコーバ」、オミクロン株の亜種(BA.2.75系統)に対する高い抗ウイルス活性を有する

塩野義製薬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発中の経口抗ウイルス薬エンシトレルビル フマル酸(開発番号:S-217622、以下、「ゾコーバ」)について、これまでに検出された変異株と同様にオミクロン株の亜種(BA.2.75系統)に対する高い抗ウイルス活性を有することを非臨床試験において確認たと発表しました。さらに、オミクロン株の感染者に対する試験では、重い副作用は見られなかったとしています。

「ゾコーバ」は、従来株やオミクロン株だけでなく新たに発見された「BA.2.75」でもウィルスを減少させることが臨床試験で確認されました。

2022年8月現在、オミクロン株の新たな系統であるBA.2.75系統が国内でも検出されています。「BA.2.75」は、従来のワクチンでは感染防御力が低下する可能性が示唆されています。「ゾコーバ」は、新型コロナウィルスが繰り返し変異をしていても新型コロナ全般に有効であることが臨床試験で確認されました。

臨床試験の結果63~80%患者が減少

臨床試験では、日本人成人を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験であり、塩野義製コロナ治療薬を1日1回、5日間経口投与した際の抗ウイルス効果ならびに安全性を評価しています。結果は、

・  プラセボ群と比較してS-217622群で速やかなウイルス減少効果が確認された。
・ プラセボ群と比較してS-217622群で速やかにウイルス力価陽性患者の割合が減少した。
・  本治験において、高度な有害事象も重篤な有害事象も確認されず、忍容性が確認された。

日本人を対象とした偽薬との比較試験では、1日1回、5日間投与。治療薬を飲んだグループは、3回投与後、偽薬のグループに比べて、感染力のあるウイルスを持つ患者の割合が63~80%減少しました。

投与による人体への重篤な有害事象は確認されていません。

ウィルスが減少すると体に与えるダメージも減少する

「ゾコーバ」は、新型コロナウィルスの症状を抑える薬でなく、新型コロナウィルスを減少させる薬です。症状を抑える薬は、症状を抑えることで評価されます。ウィルスを減少させる薬は、もともと症状を抑えるための薬でないため、症状の変化だけ見て評価すると誤りを犯すことになります。

感染してもウィルスの増殖を抑え、ウィルス量を減らすことが出来る薬があれば、ウィルスによる体のダメージを減らすことができます。

症状が出てしまった人のウィルス量が減少しても「全く症状がなくなる」「炎症がはやく治る」と言うことはありません。(別な要因が加わると、症状がさらに長引く人もいまます。また、体質や「炎症」の起きた箇所によっても症状が激しく出る場合もあります。)

新型コロナウィルスが侵入してくると私たちの体の免疫が働きウィルスと闘います。このとき、「炎症」ができ、戦闘の残骸を取り除き、ウィルスによって傷ついた体を元に戻します。ウィルスが死滅したとしてもいきなり「炎症」もなくなるわけでなく、ダメージもしばらくは残ります。

  • ボクシングをしていて、ゴングが鳴り、殴ることをやめたら、すぐに体の痛みがなくなるわけではありません。
  • また、ボクシングをしていて、1分間に20回殴っていたけど、つかれて2回に減っても体の痛みは感じます。しかし、ダメージは10分の1に減ります。

戦いが終ったからと言って症状がすぐになくなるわけでないのです。オミクロン株のウィルスの増殖は2・3日がピークです。感染に気がつき薬を飲む時には、体の中に症状を感じるには十分な炎症ができているのです。

ウィルスが減少したからすぐに症状もよくなることを期待するのは間違いです。

しかし、ウィルスや細菌・異物の量が10分の1になれば、体の受けるダメージは10分の1になります。

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