オミクロン株と従来の新型コロナウイルスとの相違点
オミクロン株では従来の新型コロナウイルスと比較して、
・潜伏期が短い
・鼻水やのどの痛みなどの「かぜ症状」が多い
・風邪との違いは高熱が出る
・ワクチン接種をしている人も感染しやすい
・重症化リスクは低い
といった特徴があります。
かぜ症状であっても新型コロナの可能性がありますので、軽い症状であっても病院を受診し検査を受けるようにしましょう(症状のある方は市販の抗原検査キットも参考になります)。保健が適用されるとほぼ無料で検査を受けることができます。
また検査が陰性であっても体調が悪いときは無理をして働かないようにしましょう。
発症するまでの期間は2日程度短くなる
今までの新型コロナウィルスでは、暴露してから発症するまでの期間は5日と言われてきました。しかし、オミクロン株ではこの潜伏期が従来の新型コロナウイルスよりも2日程度短くなっていると言われいます。
従来株では、ウイルスの増殖する場所が、肺に近いところで増殖するため肺炎を起こしやすかったです。それに対して、オミクロン株はのどに近いところで増殖する、いわゆる上気道炎を起こしやすいと言われていて、これは普通の風邪に近い症状が出現すると考えられます。したがって、発症するまでの期間が非常に短くなりました。
暴露してから2日目に発症した事例もあります。潜伏期間は平均で2日~4日程度です。
オミクロン株に感染した時の症状
オミクロンの感染者の主要な症状は、
・鼻水
・頭痛
・倦怠感
・くしゃみ
・のどの痛み
です。「かぜ症状」に共通しているようです。
ただし、これらはワクチン接種を済ました人の場合で、ワクチン接種をしていない人はもっと激しい症状が出ると思われます。
「かぜ」「インフルエンザ」「新型コロナウイルス」の3つをそれぞれの比較
▽かぜ
感染性:あまり強くない
症状:37~38度の微熱が多い、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、せき、喉の痛みなど上気道が中心
症状の現れ方:ゆるやか
▽インフルエンザ
感染性:強い
症状:高熱、38度以上の急激な発熱、関節痛、筋肉痛、頭痛、悪寒など全身症状が急激に現れる
症状の現れ方:急激
▽新型コロナ(デルタ株を中心)
感染性:強い、非常に強い(インフルエンザ上回る)
症状:無症状、微熱、高熱とさまざま、発熱、せき、頭痛、けん怠感、味覚、嗅覚障害
症状の現れ方:ゆるやかだが急激に重症化、肺炎を合併することも
▽オミクロン株
感染性:さらに強い(デルタ株上回る)
症状:上気道が中心、インフルエンザと見分けつかない
症状の現れ方:重症化少ない
新型コロナウイルスについては、肺に侵入して肺を犯す大変厄介な疫病です。これが「オミクロン株」になると肺を犯す症例は激減します。肺で悪さをするというよりも、上気道で増殖をします。かぜ、インフルエンザと見分けがつきにくい。「オミクロン株」は重症患者が少ないです。
オミクロン株と風邪の違いは「高熱」
新型コロナウイルスに感染すると熱が出る方が多いです。
高熱で来られて検査をすると陽性の方が多いです。ただ熱の持続期間は従来株よりも短い印象があります。
ほとんどの方が大体2~3日以内に平熱に戻って症状も改善しているという傾向から、従来株に比べればかなり軽い方です。
軽症と分類された人でも 40度の熱が数日続くケースも
オミクロン株は「弱毒化」したと言われていますが、軽症と分類されても高熱が続き、睡眠障害などの後遺症が起きる事例もあります。
軽症と言っても、40度の熱が数日続くなど、風邪をひいたという程度ではありません。後遺症により長引く症状で苦しんでいる人もたくさんいます。
3回目のワクチン接種に加え、コロナにかからないための対策を最大限するようにしてください。
無症状の人は今のところ3割、90%が無症状か軽症
新型コロナウイルスに感染しても症状が出ない人が一定の割合でいることが分かっており無症候性感染者と呼ばれています。オミクロン株による感染者では、どれくらいの人が無症候性感染者になるのかについては、日本国内の感染者では109例のうち29例(27%)が経過中無症状でした。
また、無症候性感染者の頻度はウイルスそのものの性質だけでなく、感染者の免疫の状態(ワクチン接種済、過去の感染など)によっても変わってくると考えられます。
また、沖縄県においては感染者のうち9割以上が無症状か軽症だったことが判明しています。
オミクロン株ではワクチン接種者も感染します
オミクロン株では、デルタ株などの従来の新型コロナウイルスと比較して、ワクチン接種者や過去に感染したことがある人が感染する割合が高いです。
2回のワクチン接種を完了している人、過去に新型コロナに罹ったことのある人もオミクロン株に感染することを理解して生活するようにしてください。
ただし、ワクチン接種や過去の感染によって得られた免疫が全く役に立たないということではなく、オミクロン株で多くの人が軽症で済んでいるのはワクチン接種や過去の感染によって得られた免疫の効果が理由の一つとして挙げられます。
まだワクチン接種を完了していない人は、今からでもワクチン接種を行ってください。
オミクロン株による重症化リスクは低いが、重症化する人もいる
オミクロン株は、従来の新型コロナウイルスよりも重症化しにくいようです。
重症化リスクが低い、と言っても全く重症化しないわけではなく、亡くなる方も報告されています。
1 ワクチンを接種していない人
2 持病のある人
3 高齢者
にとってはまだまだ危険な感染症です。
なお、日本国内では、オミクロン変異株に感染した患者の中でワクチン接種歴のある若年者は、軽症が多いという結果が出ています。
3回目のワクチン接種の効果は?
イギリスからの報告にようると感染予防効果は、
ファイザーのmRNAワクチンでブースター接種を行った人は直後に70%程度まで高まり、ブースター後10週間以降は45%に低下しています。
モデルナのmRNAワクチンでブースター接種を行った方は、直後に80%近くまで発症予防効果が高まり、9週間以降も70~75%程度で推移しています。
これらのデータからすると、2回目まではファイザーのワクチンを接種した方も、3回目はモデルナという選択肢も考えて良さそうです。
重症化予防効果は比較的長く続くようですが、高齢者においては重症化予防効果も経時的に低下していることが分かってきています。とにかく今は重症化リスクの高い高齢者へのブースター接種をできる限り早く進めることが重要です。
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