ワクチンを接種する人が多ければ多いほど制限は解除される
ワクチン接種率が低いと、接種していない人を中心に、接触機会を感染拡大前の半分程度に下げるために、マスクの着用や会食の人数制限など一定の制限が必要で、医療のひっ迫状況によっては緊急事態宣言が必要になります。
ワクチン接種のシナリオ
ワクチン接種率によって一人ひとりの制限の緩和程度も変ってきます。ワクチン接種のシナリオは次の3つが想定されています。
1 最低目指したいシナリオ:
60代以上の80%以上、40-50代の60%以上、20-30代の45%がワクチンを接種した状況
2 ありえるシナリオ:
60代以上の85%、40-50代の70%、20-30代の60%がワクチンを接種した状況
3 目標となるシナリオ:
60代以上の90%、40-50代の80%、20-30代の75%がワクチンを接種した状況
日本国内のワクチン接種のシナリオは、おそらく3の「目標となるシナリオ」に近い接種率を実現できると予想されます。生活の制限を緩める程度は、変異株の感染力よりもワクチンの効果が上回ることで実施することができます。
接種率が高い場合、ワクチンの効果+基本的な感染対策で制限を解除できる
今後、ワクチン接種が進んで、60代以上で90%、40代から50代で80%、20代から30代で75%が接種した場合には、マスクの着用や3密を避けるなどの対策で、緊急事態宣言を出す必要がなくなる可能性があります。
ワクチンだけでは死亡者数を減らすことは難しい
デルタ株の基本再生産数は、従来株が2.5~3に対して5~9の間であると推定されています。ワクチンの感染予防効果が70%、入院・重症化・死亡の予防効果が90%であると仮定すると、ワクチン接種率が 「目標となるシナリオ」 を達成しても、以前の生活に戻れば、10万人以上の死亡者が出る恐れが大きいです。
ワクチンを接種しかつ基本的な感染対策を行えば死亡者を減らすことが出来る
ただし、新型コロナの流行が始まった以降の国民がマスクを付けるなど基本的な感染対策を守ることができれば、10万人を超えるような死者や病床が逼迫するほどの医療負荷は発生せず、いわゆる「ウィズ・コロナ」のような社会を達成できる可能性があります。
ワクチンの接種率が低いと死亡者が増加
また、「最低目指したいシナリオ」「ありえるシナリオ」程度の水準でワクチン接種率が止まった場合には、より強い制限を政府が行わないと10万人を超える死亡者が出る恐れがあります。
さらに、デルタ株よりも感染力が強い変異株が登場した場合も より強い制限を政府が行わないと10万人を超える死亡者が出る恐れがあります。
他の人に感染させるリスクが低いことを示す仕組み「ワクチン・検査パッケージ」などの活用
「ワクチン・検査パッケージ」とは
「ワクチン・検査パッケージ」
・ワクチン接種を終えた人
・PCRなどの検査で陰性が確認された人など
感染させるリスクが低いことを示す仕組み
他の人に感染させるリスクが低いことを示す仕組み「ワクチン・検査パッケージ」などを感染リスクの高い場面などで活用していくことを政府は提言しています。
「ワクチン・検査パッケージ」という仕組みの導入
接種していない人が制約を受けるという不利益をどこまで受け入れるべきかは、政府や民間、専門家、一般市民を巻き込んで、国民的な議論をし、具体的に運用して行くことが必要と考えられます。
ほとんどの希望者にワクチンが行き渡ると考えられることし11月ごろには、日常生活の制約を減らすために、「ワクチン・検査パッケージ」という仕組みを導入することが重要だとしています。
行動制限の緩和可能
「ワクチン・検査パッケージ」の仕組みを導入することで、たとえば、医療機関や高齢者施設での入院患者や入所者との面会、県境を越える出張や旅行、大学での対面授業、部活動などでは行動の制限が緩和できると考えられるとしています。
適用すべきではない
また、修学旅行や入学試験、選挙や投票、小中学校での対面授業などは、参加する機会を平等に確保する必要があるため、適用すべきではないとしています。
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