感染確認者数がピーク時の2%以下に減少
国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は現在、1日あたり500人以下にまで減少しました。8月20日には2万5000人超を記録しましたが、それ以降急速な減少をみせてきました。ピーク時のおよそ2%にまで減少した計算になります。
死亡者を 0.4% 以下に抑えることが出来た
一方、8月1日から現在までの感染者の中で死亡した人の割合は、0.4%を下回っています。感染が拡大する中死亡者を大きく抑えることが出来たことは、お見事と言えます。
日本の感染者数激減は、若者のワクチン接種が進んだ成果です。
それに対して、8月には病床不足によって自宅療養を余儀なくされる人々が現れる中、死亡者を大きく抑えることができたのは、高齢者のワクチン接種を優先して進めた成果です。
海外ではワクチン接種が進んでも感染を抑えることが出来ない国がある
感染力が強い変異株を一時的かもしれませんが抑え込むことが出来たのはワクチン接種を短期間で大量に行うことが出来たからです。しかし、海外を見るとワクチン接種が進んでも、感染拡大が止まらない国が会ったり、死亡者がワクチン接種後も増加したりしている国があります。
日本の日本の感染対策成功はワクチンに加え別の要因も働いていることが考えられます。
ここでは、なぜ日本が諸外国と比べてワクチン接種により感染者や死亡者を減らすことが出来たか考えてみたいと思います。
コロナ感染者 急速減少の理由
9月28日、緊急事態宣言の解除が決まった際の記者会見で、政府分科会の尾身茂会長は、
- 連休やお盆休みなど、感染拡大につながる要素が集中する時期が過ぎ、拡大の要素がなくなったこと、
- 医療が危機的な状態となったことが広く伝わって、危機感が共有されたこと、
- 感染が広がりやすい夜間の繁華街の人出が減少したこと、
- ワクチンの接種が進み、高齢者だけでなく若い世代でも感染が減少したこと、
- 気温や雨など、天候の影響があった
以上の点を挙げています。
高齢者のワクチン接種が進むと死亡者は激減
高齢者のワクチン接種が本格的に始まった6月から、ほぼ完了した8月初旬までの国内の新型コロナウィルス感染症が原因でお亡くなりになった方の人数の変化を見てみましょう。
このグラフは、国内の新型コロナによる死亡者数を表しています。死亡者数は、6月当初から7月にかけて5分の1程度に激減し、8月に入り微増しています。
高齢者のワクチン接種が進み、重傷者・死亡者が5分の1に減りました。日本のワクチン政策は死亡者を減らすことに関しては成功していると言えます。
・6月当初から7月にかけて5分の1程度に激減 した理由は、高齢者のワクチン接種が進み、高齢者で感染し重症化する人が減ったからです。
・8月に入り死亡者が微増している理由は、59歳未満の若い人の感染者が急増し、それに伴い重症化する人も増えたからです。
この表は、日本国内における8月13日までのワクチン接種実績です。高齢者のワクチン接種が80%を超えています。日本では、医療従事者に引き続き高齢者を優先してワクチン接種を進めてきました。
今まで高齢者の重症化・死亡者が多かったのですが、ワクチン接種の防感染・防重症化効果は高く、重症者の感染者が激減しました。それにつれて重傷者・死亡者が5分の1に減ったのです。
しかし、高齢者のワクチン接種が進んだだけで59歳以下の接種が進んでいなかった7月・8月は感染が急拡大しています。
次に、7月から8月初旬までの、感染確認者数の変化を見てみましょう。
7月初めの感染確認者数が1900人に対して10倍以上に感染数が増えていることが分かります。
ワクチン接種が進んだ高齢者の感染者は激減しましたが、感染力の強いデルタ株の影響でまだワクチン接種が進んでいなかった、59歳以下の感染が急激に広まりました。特に、20歳代・30歳代の感染者は激増しています。
若者で増えて若者で減った
次に、59歳以下のワクチン接種が本格的に始まった8月1日からの感染確認者数の変化を見てみましょう。
8月中は感染がまだ拡大し続けます。しかし、20歳代・30歳代のワクチン接種が本格的に始まった8月下旬以降、一転して急速に減少しました。10月に入ると1000人を下回って、ピーク時の25分の1以下となっています。
デルタ株での感染拡大では、『若者で増えて若者で減った』という動きになりました。これまでの感染拡大の波でも若者の感染者数は急増して急減する傾向で、市中で感染した若者が家庭内で感染を広めていました。
感染が急激に拡大して普段は大着な若者も警戒し行動を控えるようになり、かつ、積極的にワクチン接種をするようになりました。さらに、感染を経験した人が増加したことによって、集団の中で免疫を獲得している人の割合が増えてきたことが感染者減少の原因につながったといえます。
感染減少の要因は他にも考えられますが、第5波の感染減少は今までの傾向とは明らかに違っていますので明らかにワクチン接種が進んだことが、日本の感染減少の主要因であったと言えます。
ワクチンを接種したからと言って油断は禁物です
ワクチンは未知の変異株を想定して作られたワクチンではない
しかし、ワクチンを接種したからと言って油断は禁物です。なぜなら、現在接種しているワクチンはデルタ株を想定して作られたワクチンではないからです。ワクチンの有効性を確かめるために行った治験は、従来のコロナ株を対象として行われたものです。
- ファイザー製ワクチン2回接種完了後にはデルタ株に対しても有効性88.0%
- 米モデルナの新型コロナウイルスワクチンは、2回目接種の6カ月後も93%の有効性を維持
と発表されていますが、海外の感染状況を見るともっと低いかもしれません。
ワクチン接種+あらゆる手段を使い 感染リスクを限りなく0に近づける
「ワクチン」+「感染対策(手洗い・マスク・社会的距離・換気・蜜を避ける など)」と1つの手段だけでは完璧でないため、様々な手段を組み合わせ対策する必要があります。
チーズの穴をリスクの「抜け道」に例えた「リスク管理の考え方」
図のようにチーズ 1 枚だけでは、穴を通してウイルス感染が容易に起こります。
しかし下の図のように、チーズを幾重にも重ねた状態をイメージしてください。
1 枚では完璧な防護にならなくても、様々な手段を幾重にも重ねることで完璧な防護に近づいていくことを、このスイスチーズモデルは示しています。
日本の人々は、ワクチン接種後も感染対策を怠らないで実践できている人が多いです。日本の場合ワクチン接種+複合的な感染対策を実施することで高い感染予防効果を発揮できているのです。
「ワクチンを接種」することに加え感染対策の徹底を実践することで感染リスクを減らすことができます。
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