ワクチンは重症化を防ぐ効果は高く、ブレークスルー感染は軽症です

対策
coronavirus covid-19 pandemic outbreak virus background concept

ワクチンは重症化を防ぐ効果は高く、ブレークスルー感染は軽症です

ワクチン接種を2回済ませた人のブレークスルー感染はデルタ株に置き換わった後で増えて来ました。しかし、ワクチンによって重症化を防ぐ効果は高いレベルで維持されています。

米国CDCのデータに基づき「ワクチン接種を済ませた人が、新型コロナウイルスのブレークスルー感染のために亡くなる恐れは0.001%未満」と報告されています。

日本国内でも、元々ご高齢の為寿命であったり、既往症の為生命力が乏しいかったりした人が新型コロナに感染しお亡くなりになるケースを除けば、ブレークスルー感染による死亡はほぼ無いと言えます。

ブレイクスルー感染が起きたとしてもワクチンを接種する価値は高いのです。ここではワクチンを2回接種しても新型コロナに感染してしまうといういわゆる「ブレイクスルー感染」についてもう少し詳しみ見ていきましょう。

ブレークスルー感染とは

ワクチンを接種した後でも感染する可能性があり、それを「ブレークスルー感染」と呼びます。新型コロナワクチンの場合では、2回目の接種を受けてから2週間くらいで十分な免疫の獲得が期待されますので、それ以降に感染した場合にブレークスルー感染と呼んでいます。

免疫ができても感染してしまう訳

ブレークスルー感染をするかしないかは潜伏期間で決まる

ウイルスが侵入した後、 発熱や発疹などの症状が現れ発病(発症)が現れる間に 10日や2~3週間の潜伏期がある病気は 血液中の抗体がそこに入って来たウイルスをブロックしてくれるので、発病しなくて済みます。

抗体の量が少なくなってしまった人でも、感染して、ウイルスが鼻や喉の粘膜から侵入した時点で刺激を受けて抗体の産生を再開し、ウイルスが血液の中に入って来る頃までには十分な量の抗体が出来上がります。そのため、二度と発病しないのです。

新型コロナでは、ウイルスが侵入した後、鼻や喉の粘膜に侵入したウイルスは、そこですぐに増殖を始め呼吸器粘膜を傷害して、数日で発病(発症)します。ワクチンを接種して血液中に抗体があっても、呼吸器粘膜の感染を防ぐことは難しいし、発病を防ぐことも十分ではありません。でも抗体は肺の中に滲み出てきて肺炎を起こさないようにブロックすることで、重症化を防ぎます。ワクチンを接種すれば、肺や臓器では重症化を防ぐ効果を発揮します。

このように、一般に呼吸器感染症を防ぐワクチンの効果は、重症化を防ぐ効果が最も高く、続いて、発病を防ぐ、感染を防ぐ効果が出ます。

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デルタ株になって増えたブレークスルー感染

ウイルスは変異を繰り返し、何か自分に有利な変化を遂げたものがやがては主流のウイルスになります。デルタ株のウイルスは、感染力が拡大しただけではなく、ワクチンによって獲得された免疫が効きにくいと考えられています。

ファイザー社や武田/モデルナ社のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは非常に有効なワクチンであり、従来株のウイルスに対しては、発病を防ぐ効果94~95%に加え、イスラエル(ファイザー社ワクチンを使用)においては感染そのものを防ぐ効果が91.5%もあると報告されていました。

しかし、その後イスラエルではデルタ株にほぼ置き換わってしまい、その結果、発病や感染を防ぐ効果が64%まで下がってしまいました(一方、入院を防ぐ効果は93%と高いレベルを維持しています)。

接種後、長い時間が経過すると増えていくブレークスルー感染

実際に罹ってしまったりワクチンを接種したりすることで、免疫を獲得して抗体ができても、使う機会がなければ段々抗体の量は少なくなっていきます。抗体の量が少なくなっていても、感染後は直ちに作り出すので重症化を防ぐのには間に合うことが多いのですが、発病や感染を防ぐのには間に合いません。

厄介な変異株の出現を食い止めるために最も有効な手段は、ワクチン接種を含む感染予防対策を徹底し、流行の拡大を防ぐことです。ワクチン接種は非常に重要です。

ワクチン接種した人もこれまで通りの感染対策を

ワクチンを接種していれば、ブレークスルー感染が起こってもほとんどの場合、重症化を免れます。しかし、感染することはあるし、感染しても発病しないことも多いので自分ではそれと気付かないままでいます。

もしマスクを着用しないで会話をしたり、3密の場所に出入りしたりすると、他の人にうつしてしまう恐れがあります。ワクチン接種が十分に進んでいない間は、その人達に感染が拡がらないように、これまで通りの感染対策を続けていただきたいと思います。

(参考資料)
厚生労働省新型コロナワクチンQ&A
ワクチン接種後のブレークスルー感染」 なぜワクチンと感染予防対策の両方が必要なのか
Impact and effectiveness of mRNA BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infections and COVID-19 cases, hospitalisations, and deaths following a nationwide vaccination campaign in Israel: an observational study using national surveillance data
Explanation About the Effectiveness of the Vaccine for Coronavirus in Israel
A Statistical Analysis of COVID-19 Breakthrough Infections and Deaths

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