PCR検査にもステルスな新型コロナウィルス

健康生活

 ステルス患者とは、新型コロナウィルス感染症特有の患者です。ステルスと名がつくように本人も全く気づかず、家族や友達・同僚にウィルスを感染させてしまいます。普通の人であれば自分が感染していたら、病気を他人に移すようなことはしたくありません。しかし、新型コロナウィルス感染症は、感染している患者本人もこのウィルスに感染していると気づていないでウィルスをばらまいているから厄介です。

 

無症状患者

 無症状患者とは、新型コロナウイルスに感染を受けたにもかかわらず,感染症状を発症していない患者のことをいいます。

 中国の武漢でも無症状患者がいることは分かっていましたがその詳細は分かっていませんでした。日本に寄港したクルーズ船内での集団感染が発生しました。このクルーズ船で集められた多数の船客の行動様式や、症状、そしてPCR検査の結果の正確な記録が、極めて貴重な公衆衛生学上の資料として、世界中の研究・治療に役に立っています。

 その一つが、感染した人のどのくらいの割合が、無症状患者になるのかです。

 無症状の人がPCR検査を受けて「陽性」であっても、正しくはその人は無症状患者とは言えません。検査後、1,2週間後に症状が出てくる人もいるからです。全く症状の出ないまま治ってしまった人(不顕性感染者)のことをここでは無症状患者と扱っていますのであしからず。

 クルーズ船乗員3,711名に対して、3,063回PCR検査が行われ、634名に陽性反応が出ました。その中で最後まで症状が出なかった人は、推計すると113人でした、PCR検査で「陽性」であった人の17.9%でした。クルーズ船に載っていた人は高齢者が多くいたので、実際には無症状患者はそれ以上の割合の人がいると言えます。

 最近では、PCR検査だけでなく、「抗体検査」「抗原検査」が行われるようになってきました。新しい検査の結果、2割からそれ以上の無症状感染者がいることが分かってきました。

 「PCR検査をして「陽性」と判定された患者をGPSで追跡し公開したら感染拡大を押さえることが出来た」と自慢している会社があります。実際には、10倍以上のステルス患者がいるこの新型コロナウィルス感染症ではそのシステムは全く役に立ちません。
ただ、「抗体検査」「抗原検査」や{PCR検査」のそれぞれの特徴をうまく生かしシステムを作り上げるのであれば運用次第で成功するかもしれません。

PCR検査は、早期発見のため検査数を増やすというのは間違いで、風邪薬と一緒で容量、用法を正しく使わないといけないのです。PCR検査に関しては、今までの日本のやりかが正しいのです。検査数で国同士が競うのは、子どもっぽいです。

 

気がつかず感染を広めるステルス患者

 一般に感染症は毒性の弱いものほど感染力が強いと言われています。新型コロナウィルス感染症は、毒がまったく効かない人が2割以上いるのですから、感染力ははかりしれません。この感染症の怖さは、感染しても症状がない人が自由に行動し、気付かないうちに自らが感染源となる恐れがある点にあります。特に子どもや若い人たちは、症状が軽く、感染したことに気がつかないうちに、重症化するリスクの高い高齢者や持病を持っている人にも感染を広めてしまうことがあります。

 新型コロナウィルスは、ステルス戦闘機やミサイルのように密かに襲ってくるから恐ろしいです。

 家を出たら誰が感染者かどうかなど分かりません。だから、出会ったすべての人が感染者かもしれないと考えて2mの距離を保って行動することが大切です。また、触った物すべてにウィルスが付着していると想定して感染対策を行うことが必要です。

 

ステルス患者は感染者全員

  新型コロナウィルスに感染した人の数は世界中で6000万人を超えています。これは検査をして分かった人の数ですので、実際の感染者数は分かっている感染者数の10倍から数十倍いると言われています。無症状患者だけでなく、これだけ多くいる感染者全員がステルス患者なのです。

 

 このグラフはインフルエンザと新型コロナウィルス感染症のウィルスが体内で増殖する変化を表したグラフです。

 インフルエンザは、感染し発症するとウィルスが急激に増え、高熱を伴って急激に発症し、全身倦怠感、食欲不振などの「全身症状」が強く現れます。
 それに対して、新型コロナウィルスは、風邪と同じで発症後の経過がゆるやかです。ウィルスも緩やかに増加します。1・2週間過ぎてから風邪かなと気づく場合もありますが、気づかずに治ってしまう人もいます。

 さらにたちの悪いことに、新型コロナウィルスも他の病気と同様に、発症すれば感染力を持つのです。

 

 インフルエンザの患者は発症すれば症状がどんどん進み、歩き回る人は極めて少ないです。病院に行き薬をもらい自宅で静かに過ごす人がほとんどです。ですから、感染は限定的です。

 それに対して新型コロナウィルスの場合どうでしょう?感染し発症していても1・2週間までは体内のウィルスは極めて少なく症状が出ず、感染者全員が感染に気が付きません。初期は感染者全員が無症状患者なのです。

 その間、普通の生活を行い買い物に出かけ、学校に出かけ、職場に出かけるなど、市中を歩き回りウィルスを行き先々でもばらまき続けてしまいます。ステルス患者は新型コロナウィルスに感染した人全員なのです。

 日本では、現時点で約15万人もの感染者が分かっています。実際の感染者は発見された感染者数の数倍である可能性もあります。

 家を出たら誰が感染者かどうかなど分かりません。だから、出会ったすべての人が感染者かもしれないと考えて2mの距離を保って行動することが大切です。また、触った物すべてにウィルスが付着していると想定して感染対策を行うことが必要です。

PCR検査にもステルスな新型コロナウィルス

初期の検体採集時にはウィルスが少ない

 先ほども書きましたが、インフルエンザに感染すると体内でウィルスが急激に増加します。それに対して新型コロナウィルスは極めて緩やかに増殖します。次の図はそのイメージ図です。青がインフルエンザ、赤が新型コロナウィルスの患者の体内のウィルスの量の変化を表しています。

 

 感染してから1週間~2週間の間は、後に重症化する患者でもウィルスがゆっくりと増えてゆくので、感染に気がつかないことが多いそうです。また、2割程度の人は、症状も出ず、全く感染したことに気がつかないで治ってしまう人もいます。
 感染に気がついていない初期にウィルスを検体採集をしたら次の3つのケースが起きます。

  1.  PCR検査で陽性と判定できる十分なウィルスを採集できる。
  2.  PCR検査で陽性と判定するには不十分なウィルスしか採集できない。
  3.  ウィルスを採集できない。

「ウィルス増加のイメージ図」からも分かるように、新型コロナウィルスに感染していても、初期の患者は極めてウィルスが少なく、検体採集をしてもウィルスを採集できなかったり、陽性となるほどのウィルスを採集できなかったりするケースが増えます。その結果、PCR検査の判定は多くの人が感染していても「陰性」と判定されてしまいます。

 「新型コロナウィルスに感染した初期の患者の中には感染していてもPCR検査で偽陰性になることが多い」と言えます。

PCR検査の精度

 「PCR検査キットは、素早い判定が可能で、新型コロナに感染したかどうかを判定する精度が最も高い」とどのキット会社も主張しているます。精度が高いと言うことは、

病気のときに検査 結果が陽性と正しく判定する率
病気でないときには陰性と正しく判定する率
 2つ合わせ た割合が高いことを意味します。

 PCR検査では、
感度がよければ、偽陽性は増えますが陰性の精度が上がります。
特異度がよければ、偽陰性は増えますが陽性の精度が上がります。

 どちらの精度も上げることは相矛盾するものなのです。

 どんな検査キットでも十分ウィルスを持った患者で測定していれば精度が高いです。しかし、新型コロナウィルスのように他の病気と違って極めてウィルスが少ない病気を調べる時には、精度は落ちます。ましてや本人は全く病気であることなど気がついていない人は、極めてウィルスが少ないのですから、そんな人を対象に検査をして正しく白黒判定を出すことはできません。

 感度の調整や誤判定がでないテクニックは各会社によって違いますが、常識的に考えて新型コロナウィルスの症状が鮮明になる症状が出た段階で調整されていると考えられます。しかし、発病が明確になった状態よりもはるかにウィルスが少ない段階でウィルス検査をしたとしたら、ウィルスが多い状態に調整されているキットの感度は悪くなります。

 感度が悪ければ、陰性の精度が下がります。逆に、擬陰性の判定が増えるのです。

 その結果、新型コロナウィルスに感染している患者が陰性と判定され隔離されることなく生活を行い感染を拡大する恐れが高まります。

新型コロナ、唾液PCR検査の感度9割

理論上では、PCR検査の特異度は100%に近い高い値で、感度も定義上100%となりますが、今まで書いてきたように検査のタイミングが影響します。

PCR検査の精度は、医学が進んだ国では低くなる傾向があります。現実にはどの程度のものでしょうか。

北海道大学大学院医学研究院の豊嶋 崇徳教授ら研究グループは、2020年9月29日の記者会見で、新型コロナウイルスのPCR検査について、約2,000例の症例で唾液と鼻咽頭スワブの診断精度を比較した結果、いずれも感度は約90%、特異度は両者とも99.9%だったと発表しました。

この結果、従来の見立てを大きく上回り、PCR検査の信頼性を裏付ける形となりました。

感度
感度は唾液で92%(95%信頼区間[CI]:83~97%)、鼻咽頭スワブで86%(95%CI:77~93%)

特異度
両者共に99.9%超でした。

こんなところが常識的な精度といえます。

しかし、大学の実験室は最高の環境です。それに対して現場は、実験室ほど良い環境ではありません。大量の検査数をこなしていることを自慢するようでは、検査数を増やせば増やすほど、偽陽性・偽陰性を乱発することになります。

 

コメント

  1. […]  1つ目の間違いは、感染者が少ないのでなく、多くの人が感染にきづていない点です。検査にも陰性となるほどウィルスの量が少なく、当然、本人にも感染に気づかないほど無症状の感染者がもっともっと多くいるのです。 詳しくは、PCR検査にもステルスな新型コロナウィルス をご覧ください。 […]

  2. Randy より:

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